プラネタリウム
電脳的大宇宙 Ver2.1
コンピューターの中で、未知の宇宙が動き出す。

望遠鏡で宇宙を観測するだけが、天文学ではありません。コンピューターの中に宇宙を作り、その中で実験を行う…。そんな最先端の天文学が解き明かした宇宙の姿を、迫力の映像とともに「体験」してみませんか。
宇宙を調べる『もう一つの方法』。

望遠鏡などを使って、宇宙で起きている現象を観測する『観測天文学』、それがなぜ起きるのかを、理論を作り、紙とペンを使って計算して解き明かす『理論天文学』。この二つを駆使して、科学者は宇宙を解明してきました。
さらに、20世紀になって、第三の方法が登場します。
コンピューターを使って宇宙空間を作りだし、その中でさまざまな実験を行う『シミュレーション天文学』です。コンピューターの中なら、宇宙が誕生した頃のようすや、惑星の誕生の仕組みなどを実験し、観測や理論を確かめることができるのです。
『電脳的大宇宙』では、シミュレーション天文学とは何か、そしてどんなことがわかるのかなどを、プラネタリウムの映像とともに紹介します。
『Ver2.1』には理由があります。

実は、『電脳的大宇宙』は、平成15(2003)年に当館で制作・投映したプラネタリウム番組です。 シミュレーション天文学がまだほとんど知られていなかった時代に、国内のさまざまな研究機関によるシミュレーション映像を使いながら、宇宙を解き明かす新しい方法を紹介する、最先端の番組でした。
その後、コンピューターは驚異的な進化を遂げ、これまで時間がかかりすぎて難しかったシミュレーションもできるようになりました。 そんな現在のシミュレーション天文学を改めて紹介したい…と考え、平成27(2015)年に『電脳的大宇宙 Ver2.0』を制作しました。
さらに、『原始惑星の衝突合体』『土星の環のプロペラ構造』のシミュレーションを最新のデータによるものに更新し、『Ver2.1』となりました。
最新の天文学をプラネタリウムで体験。
この番組には、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトも協力し、最新のシミュレーション映像を紹介します。
太陽系の誕生、ダークマター、重力波…。最先端の天文学が解き明かそうとしている宇宙の姿を、プラネタリウムで体験してください。
simulation #1 原始惑星の衝突合体

シミュレーション:玄田英典 (ELSI・東京工業大学)/可視化:中山弘敬
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
46億年前、原始惑星が衝突・合体して、
地球型惑星が作られました。
その衝突のようすを、シミュレーションしてみると・・・。
simulation #2 土星の環のプロペラ構造

シミュレーション:道越秀吾/可視化:武田隆顕
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト 使用計算機:GRAPE-DR(CICA, NAOJ)
探査機「カッシーニ」が発見した不思議な模様。
なぜ、この模様ができたのか、コンピュータを使って
環を作る無数の氷の粒子の振る舞いを解き明かします。
simulation #3 ダークマターハローの形成・進化

シミュレーション:石山智明(千葉大学)/可視化:中山弘敬
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
使用計算機:Cray XC30 アテルイ(CICA, NAOJ)
宇宙の質量の大半を占める、未知の物質「ダークマター」。
コンピュータの中で、誕生直後の宇宙をつくり、
ダークマターにわずかなゆらぎを与えると、何が起きるでしょうか。
simulation #4 中性子星の合体

シミュレーション:木内建太(京都大学基礎物理学研究所)
使用計算機:NEC SX-9, Cray XT-4(CICA, NAOJ)、Htachi SR-16000(京都大学基礎物理学研究所)
高速で伝わる時空のゆがみ「重力波」。
二つの中性子星が合体した時、
どんな重力波が検出できるかをシミュレーションします。
予告編
お客様からのメッセージ
内容が高度でしたが、わかりやすく解説してくれたので良かったです。宇宙の神秘が少しずつ解明されることを期待します。
コンピューターの中で宇宙を作り、さらに実験できる。それによって分かったたくさんの事を知るうちに、もっと知りたいことが増えました。とても知識欲をくすぐる番組でした。
『研究』という閉じられた世界が、プラネタリウムというエンターテイメントに昇華されていて、すばらしく意義深いです。科学者の方も幸せだと思います。
難しくて眠くなるかと思っていたら、あまりの内容の濃さと面白さに、物理や数学が苦手だった私も引き込まれるように観ていました。眠気が飛びました!